王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「おい、カギの種類と名は」
レインの声に我に帰る。
「あっ……えーと、召喚系のカギだ。扉は珍獣、名は獣兎(ジュウト)」
「珍獣種か。面白い」
マスターキーの先から魔法陣が展開される。
数ある魔道書を読破してきたレインですら見たことがない魔法陣。
方程式もなにもない独自の理論で構成された魔法陣に、レインは子供のような無邪気な笑みを見せた。
「凄い! さすがアルベルトゥスだ!」
「こんな意味不明な図形と数式が分かるのか?」
「……馬鹿と天才は紙一重というけど、お前は紙百重ぐらいはあるようだな」
楽しみを邪魔された腹いせに毒を吐き、レインはカギを解放させる。
「開け珍獣の扉・獣兎!」