王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

カギを捻る。


すると魔法陣が一層輝き、そこから黒い物体が飛び出してきた。


馬とさほど変わらない巨体は、カギと同じ漆黒の毛皮を羽織っている。


ピンと伸びた耳に、パッチリとした瞑らな瞳。


首周りにはふさふさとした鬣(たてがみ)が生えていて、口からは鋭い犬歯が覗いているが。


まこうとなきウサギだ。


「確かに珍しいウサギだけど、こんなんが役に立つのか?」


「……可愛い」


「へ!?」


血も涙もないレインのまさかの趣味に驚くユリエス。


けれどのんびり鑑賞する暇などない。


岩竜が戻って来る。
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