王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「とにかく今は逃げるぞ。獣兎の背に乗れ」
二人は獣兎の背に飛び乗る。
ユリエスがレインを支えるように後ろから手を回した。
レインが行けと命令すると、獣兎は支持通り駆け出した。
ライオンのパワーにウサギの俊敏さを兼ね備えた珍獣・獣兎。
マスターキーの召喚獣だけのことはあり、強靭な脚力を使ったスピードは馬などの比ではない。
それでも岩竜との差は縮むばかり。
木々の間を縫いながら進み獣兎と、木々をなぎ倒しながら進み岩竜とでは、若干岩竜の方が有利のようだ。
「このまま逃げてても埒が明かないぞ。獣兎で戦えばいいじゃねえか?」
「あの高速回転だ。触れれば一瞬でミンチになる。なんならお前で試してみるか?」
「ご遠慮しておきます……」
とはいえこのまま逃げ続けるわけにはいかない。