王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
召喚魔法は発動に要する魔力が膨大なうえ、さらに異世界から呼び出した召喚獣を現世に留めておくために、召喚中は常に魔力を消費し続けなければならない。
ただでさえレインの体力はギリギリという状態で、長時間の召喚は最悪命にも関わる問題だ。
せめて鱗さえなければ……。
「……そうだ」
ふと気づく。
この作戦ならいけるかも知れない。
「そういえばこの辺りに湖があったな」
「え、嗚呼。昨日迷った時に見つけたやつだな。それならここからそう遠くはないはずだ」
「良し。ところで炎系の魔法を使えるか?」
「一応炎系の魔石鍵は持ってるけど……どうするつもりだ?」
「奴に向かって撃て。魔力が尽きるまでな」
そう言うと、レインは顔だけ後ろに向けた。