王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
細かい説明などない物言い。
それでもこの状況を打破するためには、レインの命令を聞くのがユリエスにとっては最善の策。
それにユリエスも薄々だが感づいていた。
レインの身体が悲鳴を上げていることを。
連戦に続きマスターキーの使用。いくら鈍感なユリエスでも少し考えれば分かる事だ。
下手に物言いをして無駄に時間を費やせば、その分レインに負担がかかる。
レインとユリエスは云わば運命共同体。
どちらかが力尽きれば、もう一方も力尽きる。
それになにより、ユリエスは嬉しかった。
唯我独尊の根っからの俺様レインが、初めて自分に頼ったのだ。
少しでもこいつの負担を軽くしてやらねーと。
ユリエスは朱色のカギを手に取ると、後方の岩竜に向けた。