王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「僕が奴の動きを止める。その時に打ち込め」
「わかった」
レインは獣兎に捧げる魔力を逆算しながら、貴重な魔力を岩竜に向かって放つ。
「高圧相氷・四方氷筍!」
岩竜の周りに四本の氷の柱が聳え立つ。
突如出現した氷筍は、ガッチリと岩竜の身体を押さえ込んだ。
なんの変哲もない氷。だが密度が高く耐久性に優れ、岩竜の高速回転にも耐えている。
おまけに高圧相氷。何百度という氷の柱に囲まれて、少しずつではあるが岩竜の外殻に熱を通していった。
氷筍がブレーキの役割を果たし岩竜の回転が遅くなるが、それでも回転は止まることはなくゴリゴリと氷を削り取る。
もって数分。時間はない。
「今だ!」
レインの合図に、ユリエスは魔石鍵を開放した。