王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「どうやら上手くいったようだな」
「上手く? あいつピンピンしてんじゃねえか!」
「お前の目は節穴か? 奴の鱗を良く見ろ」
そう言われて、背中のゴツゴツした鱗に視線を移す。
「あっ!」
あらゆる攻撃が通じない鱗に、所々小さなヒビが入っていた。
「そうか! 物体は急激な温度差に弱い。俺とレインの攻撃で鱗を熱し、湖に落として急激に冷やしたんだな!」
だが、
「それでも……ヒビが入っただけ……」
鱗を破壊するには至らなかった。
氷も炎も召喚獣も効かない。今度こそ打つ手なし。
絶望が心を黒く染め上げる。