王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
足が震え立つことさえままならなくなり、ユリエスはその場に崩れ落ちた。
万事休す。
だが絶望的な状況下というのに、レインの顔には薄らと笑みが浮かんでいた。
「全て計画通りだ。ヒビさえあれば十分」
ヒビさえあれば?
確かに岩竜の鱗は多少なりとも脆くなってはいるだろうが、あの程度のヒビで打破できる状況ではないとユリエスは思った。
レインは魔力を練る。
おそらくこれがラストチャンス。
失敗すれば待ち変えているのは、死。
それでもレインは確証していた。
この闘いで勝つのは僕だと。
「氷結膨破」