王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
指を鳴らす。
パチンという音が大気をくすぐると、岩竜の鱗が全て弾け飛んだ。
強固な外殻は消え去り、代わりに背には氷の鱗がこびり付く。
だがそれもすぐに消え、岩竜は見るも間抜けな姿となった。
まるで大トカゲ。ドラゴンの威厳など感じない。
「鱗が弾けた? な、なにをしたんだレイン!?」
手こずっていた鱗が意図も簡単に弾け飛び、ユリエスの思考回路はショート寸前。
困惑と驚きで何が何だか分からないユリエスに、レインは淡々と説明した。
「水は凍る際に体積が約11分の1増加する。水が密閉された状態で凍ると、周囲の物体を押し出して氷結するんだ」
レインは言う。
「例えば、岩の隙間に水が入り込んで凝固すると……岩を破壊する」
全てはこのための布石。