王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
自重気味に苦笑い。
もし相手が討伐対象のドラゴンだったら、間違いなく二人仲良くあの世逝きだった。
吉ととるべきか凶ととるべきか。
その答えは、誰にも応えることはできない。
「ありがとな」
ふいにユリエスがそんなことを言う。
何の脈役もなく感謝の言葉を述べたから、レインは「え?」って素っ頓狂な声を上げた。
「お前がいなかったら間違いなく俺は死んでた。だから助けてくれてありがとな」
顔だけ向けて、ニィッと笑顔を送る。
レインはすかさず顔を背けたが、ユリエスはなんの不快も感じなかった。
頬が微かに紅潮している。照れている証拠。
『悪魔の子』