王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
レインの凄まじい力を恐れ、一族の民はレインのことをそう呼んでいた。
嫉み嫌われ、恐怖の対象でしたかない少年。
人から感謝されることなどただの一度もなかったレインにとって、ユリエスの言葉はムズカユイものだった。
初めて感じた感謝の情。
レインはどのような顔をしていいのか分からなかった。
顔を背けたまま、レインはある物を手にしユリエスの眼前に差し出す。
それはアルベルトゥスのマスターキー。
「……返す」
「え? いいのか?」
元々俺のだったけど。
「お前の大いなる目的やらのためにこれが必要なのだろう。黙って受け取れ」
「いやでも、俺それ使えないし……」