王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「僕の純度の高い魔力をあれだけ与えたんだ。お前の質の悪い魔力でも一度だけなら出てくれるさ。いいから受け取れ馬鹿」
普通に返してくれればいいものを。
可愛くないなぁと思わず口に出しそうになったが、レインの言葉通りに黙ってマスターキーを受け取った。
「……それと」
レインはユリエスの背に顔を埋める。
(ありがとう……)
小さな小さな声で言った。
聞き取れるかどうかの声量だったが、ユリエスの耳にキチンと届いたようだ。
「ありが……え?」
本当に驚いた。プライドの塊でしかないレインから、感謝の言葉が出るとは想像だにしていなかった。
夢かも知れない。