続・彼女が愛した温もり


『ピアス…俺のイニシャルなんだってな?』

『え、なんでそれ…』

『実はさ、カレンが実家に帰ってから心配で堪らなくて万里子ちゃんに様子聞いてたんだよ』

『万里子に…?』

『あぁ
で、強がりだから無理してるけど辛そうだとか
痩せていってるとか、顔色が可笑しいとか聞いて
何度も迎えに行こうって思った。
そこまで追い詰められるくらいなら俺の傍に置いとこうってな。

でも、逆に言うとそこまでしてでも想う事があるんだって気付いた。

まぁ、でも親父さんの事は俺も協力するよ』

『でも、パパ…私から逃げたんだよ?』

『でも、娘を愛してるから向き合い方が分からないのかもしれない
自分に似た娘を血が通った我が子が嫌いな親はいない
そりゃ例外はあるけどな、
でも、カレンの親父さんはきっと愛してるよ
カレンの事』

『コーキ…』

『カレンの事愛してる俺だからこそ他にもカレンを愛する人が分かるんだ』

『うん‥』

逃げてるのは私もだ‥。

ママになるのに逃げてちゃダメだね。


コーキ‥
もう少しだけ待っててね。
そしたら話すね、稜の事。


まだ赤ちゃんがいる事も分からないようなお腹に触れてそっと目を閉じた。

きっと、
きっとね私のお腹の中で生きる君は幸せになれるよ。

こんな優しいパパがいるよ。


早く会いたいね‥。


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