続・彼女が愛した温もり


『で、カレンちゃんは?』


『あー…カレンは実家に妊娠の事伝えに行ったよ』


『うわっ…なぜ一人で行かせた?』


『もちろんついて行くと言ったよ
そしたら、カレンが一人で行くって。
明日迎えに行く約束はしたからそこで挨拶するかな』


『ふーん…殴られたりしなければいいな』

いや、まじで
殴られないものなんだろうか。

17の若い娘を妊娠させた男。
聞こえが悪すぎる…。


親なら怒るよな、やっぱり…。


でも、カレンは昨日
『絶対産むから、ちゃんとパパと向き合って来るね』
と笑って話していた。

信じよう。
俺だって男だ。

親子で喧嘩にでもなったら全力で話し合おうと思うが
昨日のカレンの強い眼差しを気持ちを信じたい。


ただ信じていたい。


何よりもせっかく宿った命を
周りに反対されながらカレンに産ませたくない。


そして、その小さな命の父親として
周りに祝福されて生まれてきてほしい。


まだ息子か娘かも分からないけど、
愛する我が子には幸せになってほしい。


そのためにはまずカレンに親子の絆を再確認してもらいたい。


あの日、病院で初めてカレンの親父さんを見た日
カレンを見る親父さんの目は大切な娘を心配する目だった。

自分にそっくりで、たった一人の我が子が娘が可愛くないはずがない。

きっとお互いがちゃんと真正面から向き合えてないだけだ。


親父さんはカレンの妊娠をどう受け止めるんだろうか…。

やっぱり無理矢理でもついて行った方が良かったかな…。


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