ラブミーアゲイン
もう2度と、愛する人を失ったりしたくない。いや、しない。
…俺はそのために、ここまできたのだから。
「…じゃあ、いってきます。 夕飯はいつも通りの時間で大丈夫ですか?」
「ん。帰るときにメールする」
「わかりました」
「いってらっしゃい。」
笑顔でいってきます、と言ってから綾芽はドアを開いて外に出た。そして俺の方を振り返り、手を振って会社に向かっていった。
…朝は俺が綾芽を見送り、夜は綾芽が俺を出迎える。
もうずっとこれが日常。
綾芽の姿がドアの向こう側に消えるのを見届けてから、俺はドアの鍵をかけて朝食の続きを食べ始めた。
新聞をちらりと眺め、コーヒーを一口、こくりと喉に流した。
表舞台は、今日も平和らしい。