ラブミーアゲイン


綾芽がシンプルでユキさんらしいですね、と言って笑った初期設定の着信音が静かな部屋に鳴り響く。

サッと黒のスーツを羽織って相手を確認し、ピッとボタンを押して電話に出た。

…これから向かうというのに、ずいぶんせっかちな人だ。




「…はい」

『ユキかい? 悪いんだけれど、今日すぐ“家”に寄って頼んでおいた資料を“会社”に持ってきてもらいたいんだ』

「はい、わかりました」

『悪いね、頼むよ。 秘書には話を通しておくから』


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