学園ぷりんせす


空が赤色に変わる頃、私は上原くんの服の裾を掴んだ。


「あの…今日はありがとうね!お兄さんから…こう…守ってくれて…」

「…あんたの為じゃないし」

「あっ…そ、そーだよね!あはは…」


そう笑っていると、上原くんは無表情のまま私に近づく。
そして顎を掴み、くいっと顔を上げられた。


「…今日一日中顔赤い。熱でも持ってんじゃないの?」


クスッと笑う上原くん。


「そんなことないですっ!!」


心臓が飛び出そうなほどドキドキしている。
こんなにドキドキするのは、中学受験以来だった。


「…そっか。じゃ、また明日」


顎を掴んでいた手を離し、私から遠ざかっていく上原くん。

まだ離れたくないという気持ちが心の中にあった。



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