Color
ビスクベージュ 〜凜side〜
彼が死んでニヶ月が経ち、ようやく仕事にも復帰した。
何もなかったような、今まで通りの日常が戻りつつある。
彼への想いも、思い出として懐かしむことができる位、少し心に余裕ができてきた。
TOMATOという、彼以外のよりどころができたおかげかもしれない。
「最近、犬を飼い始めたんですよ。ミニチュアダックスなんですけどね。」
マスターがいつもより少し高い声で言う。
最近はマスターともよくお喋りをするようになった。
仕事柄なのか人柄なのか、とても落ち着いた、心地よい話し方をする。
「わんぱく盛りなんですけど、またそこがカワイイくて。」
そう言うと、マスターは目尻にクシャっとシワを寄せて笑った。
たまに見せるこの笑顔はいつも私を和ませてくれる。
「犬、すきなんですか?」
「動物は好きなんですけど、飼おうと思った事はなかったですね。かわいいだけじゃないでしょ?世話とかあるし。」
「じゃあどうして?」
「なんででしょうね。たまたま散歩中の犬を見て、で、たまたまペットショップの前を通って。。」
「入ったらたまたまカワイイ犬がいたんですか?」
「そうそう!」
マスターのとぼけた感じが意外で、久しぶりに声を出して笑ってしまった。
それを見てマスターが微笑んだ。
「酒井さんって、ホントはすごく明るい人なんですね」
「え?」突然の言葉に思わず聞き返す。
「最初いらした時は、本当に消えてしまいそうでしたから。」
消えてしまいそう、なんて表現にまた笑ってしまう。
「本当ですよ。足元もおぼつかない感じで、正直とても心配したんです」
ここに来た日の記憶が朧げなだけに、今となっては少し恥ずかしい気がした。
「やめてくださいよ、もぅ!」
-そのあともしばらくマスターと他愛もない話をして過ごした。
ふと時計に目をやると、あっという間に深夜1時をまわっていた。
(明日休みだし、もう少しいいかな。。)
何もなかったような、今まで通りの日常が戻りつつある。
彼への想いも、思い出として懐かしむことができる位、少し心に余裕ができてきた。
TOMATOという、彼以外のよりどころができたおかげかもしれない。
「最近、犬を飼い始めたんですよ。ミニチュアダックスなんですけどね。」
マスターがいつもより少し高い声で言う。
最近はマスターともよくお喋りをするようになった。
仕事柄なのか人柄なのか、とても落ち着いた、心地よい話し方をする。
「わんぱく盛りなんですけど、またそこがカワイイくて。」
そう言うと、マスターは目尻にクシャっとシワを寄せて笑った。
たまに見せるこの笑顔はいつも私を和ませてくれる。
「犬、すきなんですか?」
「動物は好きなんですけど、飼おうと思った事はなかったですね。かわいいだけじゃないでしょ?世話とかあるし。」
「じゃあどうして?」
「なんででしょうね。たまたま散歩中の犬を見て、で、たまたまペットショップの前を通って。。」
「入ったらたまたまカワイイ犬がいたんですか?」
「そうそう!」
マスターのとぼけた感じが意外で、久しぶりに声を出して笑ってしまった。
それを見てマスターが微笑んだ。
「酒井さんって、ホントはすごく明るい人なんですね」
「え?」突然の言葉に思わず聞き返す。
「最初いらした時は、本当に消えてしまいそうでしたから。」
消えてしまいそう、なんて表現にまた笑ってしまう。
「本当ですよ。足元もおぼつかない感じで、正直とても心配したんです」
ここに来た日の記憶が朧げなだけに、今となっては少し恥ずかしい気がした。
「やめてくださいよ、もぅ!」
-そのあともしばらくマスターと他愛もない話をして過ごした。
ふと時計に目をやると、あっという間に深夜1時をまわっていた。
(明日休みだし、もう少しいいかな。。)