たった一人の親友へ
翔がお風呂から上がるまえに泣き止まなくちゃ


必死に涙を止めて


顔を洗う



「あー言い湯だった~」


呑気にそんなこと言ってる翔は


あたしの異変なんかに絶対気付かない


気付かない


気付かない


「さなー。

お前また泣いただろー」


えっ………?


「なっ泣いてないよ。

泣く理由なんかないし。」


「なーにー?

言ってみろって。

俺いつでも相談乗るっていったじゃん。」




あんたのせいで泣いてんの!!




心の中の叫び



翔はいつでもそうだった


あたしは何か抱えていても


意地をはって言わないから


翔から声をかけてくれる


「もぉっ」


そう言って


あたしは翔が抱きしめてくれることを


期待してるんだ


計算高いって言われてもいいよ


でもこのくらい良いよね?


ちょっとくらい


翔の温もりを感じたって


良いよね?



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