たった一人の親友へ

遠足当日
バスに乗り込んだあたしは、何だかわくわくしてる自分に笑ってしまった

奥で和歌子があたしに手を振ってる
「さな~こっち!!」
最近あたしがよく喋るようになったからだろうか
和歌子との距離が前よりも近づいた気がする


横にはけんたと翔
「おはよう」っていう翔の笑顔に朝から胸が痛くなる

「おはよう」
そう言い返す自分が自分じゃないみたいで恥ずかしくなった



日光に着き班行動
あたしはその日何年振りかに笑ってた

本当にちゃんと笑えたの

翔のつまんない冗談も
けんたがする似てないモノマネも
和歌子とする女子トークにも

ちゃんと笑えたんだよ


その日の夜
和歌子がね、言ってくれたの
「前のさなは何か冷たいイメージがあって話しにくかったけど、最近のさなはよく笑うし明るくなったって感じ!和歌子は今のさなの方が好きだよ」



純粋に嬉しかった

この子にならもしかしたらあたしの気持ち全部話せるかな?って

でもやっぱり心のどこかでそれを制止する部分があって

やっとのことであたしの口から出た言葉は

「ありがとう」だった


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