たった一人の親友へ

日常

その時


後ろでザッと砂浜を踏む音が聞こえた


びくっとして身体を起こす


後ろを振り向くと


そこには翔の笑顔


「驚いただろー(笑)」


その通り


驚きすぎて声も出ない


「やっぱここだと思ったよ。お前声変だったし。

俺に嘘は通用しませーん。」





こんな行動反則だよ


「ごめんね。翔

朝…朝ね

ゆいちゃんが来たの…

あたしたちのこと誤解して帰っちゃって…

ごめん

言うタイミング逃しちゃって…」


言った


言っちゃったよ


「なーんだ。

そんなことで悩んでたのかよー

ゆいなら大丈夫だよ。」


笑顔で言う翔


「だめだよ。
女の子ってすぐそういうこと気にするんだから」


「大丈夫だって。
じゃぁ、後でゆいに俺から言っとくから…心配すんな!
お前本当いいやつだな」


誤解しないでよ


あたしは言えなかったんじゃなくて


言わなかったの


言いたくなかったんだよ?




あたし本当に嫌なやつだね


失恋したって分かってるのに


あたし翔が来てくれて


本当に


本当に


嬉しいの




好き






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