たった一人の親友へ
翔は地元の大手塾に通って


毎日忙しい日々を過ごしていた


それでもまめに毎日メールだけは送ってきてくれて


そのメールがあたしの支えになっていた


ある日夜遅く、翔が家に来た


何かと思って急いで玄関へ向かうと


そこにはコンビニの袋を持って笑顔で立つ翔がいた


「これ、差し入れ!」


中には熱々の肉まんが二つ


「友香と食べてよ。うまそうだろー」


「うそっ!おいしそー

ありがと、翔!」


「おうっ。

じゃぁな!!」


たった二分間だけの会話


それがあたしを支える魔法


あたしは部屋で肉まんを頬張りながら


鼻の奥がツーンとして


いつの間にか口の中が涙でいっぱいになっていた





ありがとう





あの時の肉まんの味


まだ忘れられないの


あのコンビニを通るたびに


あたしはあの夜の出来事を思い出すんだよ?

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