たった一人の親友へ
思わず口から出た言葉


「うん。
そんなの知ってるよ~」


「何それ〜!!」


翔の知ってるは


知らないってことだよ?


あたしが翔のことどれだけ思ってるか知らないくせに


恋愛感情として
あたしが翔のこと大好きだなんて知らないでしょ?


「さなっ!!着いた!!」


大きな大きな海


2月の海なんて寒くて死にそうで


だけどその分翔の手がいつもより温かく感じられる




あたしたちはいつもそうだった


何かが始まるとき


何かが終わるとき


いつもここに来て


本音で話して


「この海見ると昔を思い出すなぁ」


「ねっ」


それっきりあたしたちは会話もせずに


ただただ大きな波を見続けた


その日の波は


これからのあたしたちを知っているかのように


大きく大きく


荒れていた


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