たった一人の親友へ
耐え切れずに明るい話題をふった


同情なんてしないで


まだ翔は生きてる


絶対に


「さな、辛かったら泣いてもいいんだぞ?」


ふと隆也が言った言葉


「大丈夫だよ!!全然大丈夫・・。」


「大丈夫なわけないだろ?

あんなに好きだったやつが死んだんだぞ?

俺なら泣き喚いてどうしていいか分かんなくなるよ・・」


「だから大丈夫だって…

翔はまだ生きてるもん!」


「さな・・・お前・・・」


「バカだって分かってるよ。

でもいいじゃない…。

翔は生きてる。

生きてるもん。」


「さな・・。

現実を受け止めなくちゃ。

翔は死んだんだ。

あの日。

死んだんだよ?」



今までみんなあたしに同情して


お見舞いに来る人たちは


翔が死んだなんて誰も口にしなかった


あたしもそれに安心してた


でもこんなにはっきり言われて


どこかでセーブしてた気持ちがあふれ出してきた


もう止まらない

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