たった一人の親友へ
「隆也が勝手にそんなこと言う権利なんてない!

分かってる。

分かってるよ・・・

翔が死んだことくらい分かってる。

でも・・

信じられないよ

だってあたしは翔のお葬式に出たわけじゃない

ただ骨になった翔を見ただけだもん。

あんな現実感のないもの見せられたって信じられないよ…。


ねぇ。隆也…

どうして神様は翔だけを連れていっちゃたの?

どうしてあたしは一緒に行けなかったの?

翔と約束したの・・

十年後も二十年後もあの海で会おうって

ずっと親友だって

なのに

なのにどうして!?

どうして翔なの?

あたしだけが生き残って

あたしだけが辛い思いして

あたしも一緒に死にたかった。

死にたかったよ・・・」



パァンッ



あたしの頬に飛んできた手




「…何でそんなことが言えるんだよ。


死んだ方がよかったって?

翔が死にたいと思って死んだはずないだろ!!

そんなこと言ったら死んだ翔に失礼だ…


自分だけが辛いって?

周りを見てから物を言え!!

そんなに死にたいならいくらでも手段はあるだろ?

そんな勇気もないくせに勝手なこと口に出すな!!


俺がどれだけ心配したかも知らないくせに

そんなこと言うなよ…

お願いだから…もう二度と死にたいなんて言うなよ…」

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