たった一人の親友へ
中には


いつの日か撮った


あたしと翔のプリクラ


綺麗に切り取られたハートの形


そこには笑顔の翔がいて


もう二度と見ることは出来ない翔がいて


あの事故以来


初めて翔の顔を見た




抑えていたものが溢れ出す衝動


あたしは翔の名前を呼び続けながら


あの日以来初めて泣いた


ただただ泣いた


泣くことしか出来なかった




プリクラに書かれた文字


“一生一緒”


“もー!翔!ふざけてないでカメラ見て笑ってよ”


“はいはい。ほら!俺の笑顔サイコーだろ?”




あの日の会話が聞こえてくる


あの時翔は思いっきり笑ってた


このプリクラ


最期の形に残った翔の笑顔



一生懸命ハートの形に切ったんだろうなぁ


そんなこと考えるとまた涙が出てきて


あたしは


初めてその日









翔の死を認めた
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