たった一人の親友へ
そんな泣いてばかりのあたしをそっと抱きしめてくれる隆也

「嫌だよ〜なんで?
あたし隆也のこと好きだよ?」

はぁとため息をつく隆也

「さな」


そんな風にあたしのこと呼ばないで

そんな風に優しく抱きしめないでよ



「さなは分かってないんだよ。好きってどういうことか。」

「分かってるよ!分かってないのは隆也の方でしょ?自分のことなんだから自分が一番良く知ってる!」

隆也は困った顔をして、それからすぐにふっと笑顔になった

この顔大好き
きゅっと目尻にしわがよるこの隆也の顔がすごく好き


「さな。もし仮にさなが俺のこと好きだとしても、お前にはもっと大事なやつがいるだろ?」

「……。」

「今ここでちゃんと気持ちの整理しなくちゃ俺たち永遠にちゃんと向き合えないよ。なっ?」


もう隆也を困らせたくなかった

だけど高校生の隆也が言うことは何だかすごく難しく思えて

隆也が言いたいことは痛いほど分かるのに

あたしは被害者ぶって泣き続けた







今なら分かる

どれだけ隆也が強い人か


どれだけあたしのことを想って出した結論か




過去の自分を消し去りたい








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