たった一人の親友へ
卒業式の後

結局四人で翔のお父さんの事務所に泊まった


真夜中まで騒いで


疲れたのか和歌子とけんたは先に夢の中へ


あたしと翔は真夜中の散歩


手が凍えるほど外は寒くてもうすぐやってくる春の臭いを感じた





「手袋持ってくればよかったぁ」



文句を言うあたしに翔は黙って手を繋いでくれた


その日の翔はなんだか無口で



あたしはすごく緊張して

少ない会話も覚えてない

事務所に着くまでずっと握りあってた右手は

離した後も翔の温もりを覚えていた







どうしよう


あたし


日に日に翔のこと


好きになってく


どうすればいいの




伝えきれない想いを


溢れ出しそうな想いを


胸の中にギュッって押し込む


絶対に言ってはいけないあたしだけの秘密



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