たった一人の親友へ
私が高校に入学する五か月前のこと。


その日友香は二度目の入院をした

友香は自分の心をコントロールできなくなってしまったのか

部屋で発狂した


意味の分からない言葉を叫び続ける友香に

あたしは恐怖を覚えた


人間ってこんな風になっちゃうんだって

必死で友香を抑えようとする母親がみじめに見えて




あたしはただの傍観者だった




救急車が来て、友香は病院へと運ばれた


次の日

ベッドに固定された友香を見て

あたしは目から涙が出てくるのを止めることが出来なかった



こんな風に友香を傷つけてしまったのはあたしだって

今までただただ母親から逃げて

家族を捨てて

友香に全部を押し付けた



あたしは本当に馬鹿だね

現実から逃げてばっかりで大事な事は何も見えてない。



ベッドに眠る友香を見ながら

あたしは

ごめんね、と

言うことしか出来なかった







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