たった一人の親友へ
夏の彼氏は正直意外な人だった


夏の彼氏ってもっとチャラチャラしたイメージがあったのに


今あたしの目の前にいるのはごく普通の人で

言ってしまえばすごく平凡な人



「迎えに来ちゃった」

そう言って笑うたくちゃんに

夏、赤面。


「あっ…たくちゃん。彼女、言ってた友達のさな。
あの…さな。これが…例の彼氏。」

またまた夏、赤面…。

本当に好きなんだなぁって伝わってくる




前に夏が言ってた


「あたしね、中学の時色々あって問題ばっか起こしてて・・
先生たちもいい加減呆れて、見放されてた。
でもね、その時生徒会長だったたくちゃんがあたしのこと本気で怒ってくれたの。
あんなに自分の気持ちぶつけてくれた人初めてで・・
その瞬間もう好きになってた。
それからいっぱい努力して
たくちゃんにふさわしい女の子になりたくて
やっと彼女になれた時、人生最高に嬉しかったなぁ」



その理由が分かった気がする

そっと夏の腰に回されたたくちゃんの腕には

めいいっぱいの愛情が感じられて



心底うらやましく思った



あたしもいつか夏のように運命の誰かに会えるかな?



翔以外の誰かに





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