たった一人の親友へ
「さな!突然どうした?」


頭が真っ白のあたしは


「ごめん!!ちょっと聞きたいことがあったから寄ったの。
でもお邪魔だったね(笑)」


精一杯の冗談を言ったあたし

翔はゆいちゃんに
「あっ!こいつ中学時代の友達。
家近いから腐れ縁みたいな!」


不思議そうな顔をしていたゆいちゃんは笑顔になって
「もしかして話してたさなちゃん??」

「そうそう!!これ例の彼女のゆい」


小柄で

目がくりっとしてて

声も可愛くて

髪もふんわりしたボブで

文句のつけどころがない


翔の彼女

彼女

彼女。





「また今度でいいやっ。メールでもいいし。
じゃぁまたね~!」


「大丈夫?さながそれでいいならいいけど…」


「うん。じゃぁまたね。」


ゆいちゃんにもぺこっと頭を下げて

そこから立ち去るあたし

後ろから翔の声がする


「ゆい~!朝から可愛いなぁ」




ちょっと前まではあたしの場所だった

今は遠い翔の隣

友達と彼女の違い





思い知らされた

たったこれだけのことで

涙があふれて止まらないあたしは

翔のこと全然忘れられてない








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