たった一人の親友へ
「ごめんね〜。隆也。
友達来ちゃって…
授業のノート返すって」


嘘ってこんなに簡単に口から出るんだね


「そっか…ちょっとさな。こっち来て」
心なしか元気のない隆也はあたしに手招きする


ちょこんと隆也の隣に座る


「俺さぁ、さなとやり直す時言ったじゃん。俺のこと利用してもいいからって。
ちゃんと俺のこと利用してる?」


「え?何言ってんの?隆也?
どうしたの?」


「・・・。」


「あたしは隆也がいてくれて本当に助かってるよ」


「…じゃぁ。
じゃぁ何でさぁ、そんな悲しい顔してんだよ!?
こういう時に俺が必要なんじゃないわけ?
嘘なんかつくんじゃねぇよ!
もっと俺を頼れよ!!」





悲痛な叫びをあげる彼の姿を
あたしはただ見つめることしかできなくて




どうしてあたしは隆也を傷つけることしかできないんだろう


どうして愛されている分ちゃんと返せないんだろう


そしてきっとここであたしが泣いて

隆也があたしを抱きしめて

また元通りになるんだ



その分また隆也の傷が増えて


あたしは隆也に救われる



最低な方程式






< 86 / 265 >

この作品をシェア

pagetop