泪の花。
アイツだと分かり、安心したのもあって、ゆっくりしゃがみ込んだ。



『…はぁ』



「…大丈夫?ごめん、怒鳴ったりして」


と隣にしゃがみ込んだアイツ



『姉が…戻ってきて…家にはいられなかったの…少し気分転換したくて』



するとアイツは、私の頭に手を置いて撫でながら


「なら、俺を呼べ。何時だって構わないから…飛んで行くから…頼む。もうこんな時間に一人で出歩かないでくれ。」



苦しそうにそう言ったアイツに、私は頷く事しか出来なかった。



『あんたは、なんでこんな時間出歩いてたの?』


「お前にメールしたけど、返って来なくて初美んちに向かってたんだ。まぁ、メールが返って来ないのはいつもの事だけど…胸騒ぎがしたから。」



来て良かったと笑っている。



私に笑いかけるその顔は、優しさそのもののように思えた。



『なんで私にそこまでするの?いつも答えてくれないけど、どうしてなの?』



「企業秘密なんでね」


『なによそれ…』


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