泪の花。
「初美!!」


今度は間違いなく声が聞こえて、その声に固まった。



『ね…え…さん』



「なにしてるの?こんな夜中に。目を離すといつもこうなんだから。子供じゃないんだからしっかりして頂戴」



『あ…え…』



「なに?ちゃんとしゃべりなさい。昔っからハッキリしない子ね…おばあちゃんがいなきゃ何も出来ない、自分の弱さを早く認めたらどうなの?おばあちゃんだって安心できないじゃない。まだお墓にも行けないんでしょ?意気地のない子。」




今日…


一番辛い言葉…


口の中いっぱいに苦いものが広がった気分だ。



一言も言い返せない。



姉さんの言っている事に何も間違いはないのだから。



「言い過ぎじゃないですか?」


いきなり横から口を挟んできた。



『やめ…』


「あなた、誰なの?」


「咲坂海斗と言います。」


「どうだっていいわ」


あんたが聞いただろ!!



なんてツッコミを私が出来る筈もなく。


地べたに座り、立つ事が出来ずにいた。


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