泪の花。
「冗談よ、真に受けないで。」


冗談に聞こえなかったんですけど…


そう思いながら抱きかかえた初美は、ビックリするくらい軽かった。


「初美、また痩せたわ…まだ笑わないし、感情も殆ど見れない。」


やっぱり、心配してるんだよな。



「何も…初美は変わってない。」



歩きながら話すお姉さん。



「初美は、笑いますよ。俺に怒鳴り散らすし、まだ泣く事はできませんけど…」


と俺が言うと、お姉さんは目を見開いていた。


「あなたを怒鳴るの?この子が?」


とビックリした顔をしている。


「殴られましたしね」



有り得ないと言いながらさっきより驚いた表情はしていない。



「あの、話変わるんですけど…なんで留学してたんですか?」



「初美…私がいると家に帰って来ないの。親は留学に反対したけど、この子に何かある前に、姿を見せないようにする方法が…それしか思い浮かばなかったのよ」



と淡々と話す。






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