泪の花。
「初美の事…大好きなんですね」


「初美には伝わらないけどね、」


「接し方の問題じゃないですか?」



「愛情が歪んでるのは分かってるのよ。でも、これはもう癖みたいなもので、もう直せないの。」



「そういう風に接するようになったのは…」


「何歳だったか覚えてない幼い頃よ。泣き虫だった初美を強くしたくて、他の子よりも私が怖ければ学校では泣かなくなる、そう思ったのよ。変わった考えを持った子だったのよ私。それより、あなた質問多いわね。無表情だし」


無表情はあなたに言われたくないと思った。



「初美には、ヘラヘラし過ぎってよく怒られますけどね」



そう言うと間髪入れずに

「初美の前だからでしょ?」


と言われた。



「初美…まったく気付かないんですけど、お姉さん凄いですね。」




「気付けないのよ。この子…まったく、自分の気持ちが見えてないの。」



「…」



「私ね、初美が泣かなくなったのに、良かったとは思えないの。」



と、お姉さんは自分を責めているように見えた。
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