泪の花。
「初美は、そんな風にあなたが傷つく事なんて望んでないと思います。だから…どうか笑ってあげて下さい。」



しばらくの間、俺をジッと見て一言



「…面白くもないのに笑えないわよ」


前に、初美が言った言葉をそっくり返された


「ハハッ!!やっぱ姉妹ですね」


頭をひねるお姉さん


「意味が分からないけれど、そんな事言われたのは初めてだわ。」



会話が途絶え…


気付くと、いつの間にか家の前にいた。



「私が今日帰って来たのはね、母から…初美、最近調子いいみたいよ。って電話を貰ったの。会いたくて堪らなかった…ガマン出来ずに帰って来たけれど、何も変わってないじゃない?そう思ったら…また意地悪な言葉しかかけられなかった。」




「あの…」



「でも、それは私の前だからよね…」


と俺が抱えていた初美をヒョイと持ち上げて見せた。



ビックリしていると


「私には、見せてくれないかもしれないけれど、あなたには、素直でいれるなら…こんな良い事はないわ」



と寂しそうに笑っている。
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