泪の花。
朝、起きるとベットの上だった。


「私…あのまま眠っちゃったんだ。」


ふと部屋を見渡すと、姉の荷物がなくなっていた。


「…姉さん?」


下へ急いで降りると、またクラッとした。



玄関には姉さんが立っていて


「初美、あなたまたいきなり立ち上がったわね。いい加減学習なさい」



と言われ条件反射で体が固まってしまう。


「はぁ、こんな事が言いたいわけじゃないの。でも、直す気もあんまりないのよね」



『姉さん、帰るの?』


「久しぶりにまともに口をきいたわ…」



『私…』


「咲坂くんだったかしら、あの子良い男ね」



ドキッとして、勝手に口がこう叫んだ。



『ダメ!!ダメ姉さん、アイツはダメなの!!』



「なにがダメなの?」



なにが…ダメなんだろう?


あれ?


私、なんであんなに必死になったんだ?



頭を抱えていると


「まだまだ、あなたには…いや、あなた達には先の事みたいね。」


姉さんは、ニッコリ笑って私の頭を撫でた。

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