泪の花。
おばあちゃんのお葬式が終わり…


無心で片付けの手伝いをしていると、人一倍泣きながら線香をあげていた人が、誰かと話しているのが聞こえてきた。




「あのババァ、死んでくれて清々したよ。説教ばかりしやがるから大嫌いだったんだ」



聞き間違いかと思った。

あんなに、泣いていたのに…由貴さん…由貴さんって縋っていたのに…


素直に傷付く事も…相手を殴り飛ばしたくなる程怒る事も、出来ずに…


その出来事は少しずつ自分の中に浸透していった。


その日、学んだ事は本当に悲しくて泣く涙以外にも、嘘の涙も流す人がいるという事。


私の中に生まれた矛盾は確実に私を蝕んだ。






< 127 / 203 >

この作品をシェア

pagetop