泪の花。
渋々、持って行くと…



立派な垣根が見えてきて、目的地についた。


インターホンを押すが返事がなく、


留守なのか?



と思い、ポストに入れようとした時…



垣根前の庭の方から、声がした気がしてコッソリと覗いてみた。



庭が良く見える和室が見えて、そこには70歳くらいのばあさんと、その子が見えた。



話声はよく聞き取れないが、ばあさんが優しくあの子の涙を拭うと、その瞬間…



まるで、花が咲いた様に笑った。


いつも泣いてばかりのあの子が笑ってる…



その笑顔に体が固まって、どうしようもない程その子が愛しくなった。



まぁ、いわゆる一目惚れだ。



壊れそうに綺麗な笑顔を…


子供心に守りたいと思ったんだ。


それから、そこへ行くのが日課になった。


今だから思うのは、小学生だったから覗くような行為も許されたんだろうな(誰であろうと、しちゃいけないけど)


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