泪の花。
すると、由貴さんは…途切れ途切れに俺に話しかけた



『ぼうず…言わなくたって、ぼうずは知ってると思うけど…初美は優しい子だ…』


「うん…」


『でも…1人じゃ泣けない…弱い子だ。私は、それを悪いと思った事は一度だってないけれど…いつだって不安だった。私が居なくなったら…初美はどうなるんだろうって…』



「…」



『…楽しかったよ、ぼうずと出会えて…初美と出会えて…あの子が私の死を乗り越えてくれるように願ってる…ぼうず、良かったら…少しでいいからさ、あの子が躓いたら助けてやってくれないかい?』



「少しだなんて…今更控え目に言うなよ…」



『あんたの人生だからね初美を嫁に貰ってくれなんて言えないし…』



「なっ…!!話が飛躍し過ぎだ!!」



『宜しく頼む。とは言えないんだよ、重荷になるだろ?そりゃ少しは控え目にもなるさ…』


「…」


俺が頼りないから…

ちゃんと頼めないのか?

そう口に出して言いたかったのに…声は出なかった。




< 140 / 203 >

この作品をシェア

pagetop