泪の花。

ようやく、帰ってきたアイツは…



一瞬、襖の側で固まっていた。



俺なんか眼中になく、泣き出すと思っていたアイツの目は、だんだんと光を失っていく…



そのお前を目の当たりにして、何か言葉をかけたいのに、出てこないのがとてつもなく悔しくて、歯がゆかった。




いつの間にか俺は泣いていて…

泣きたい筈のお前の手を、強く握り締めていた。

何も出来ないと分かっていても、どうしてもお前の傍に居たかったんだ。