泪の花。
世間はゴールデンウイーク。


朔來との約束なんて、すっかり忘れていた


5月3日の午前9時。


私以外の家族は、みんな出掛けていて、物音なんてする筈ないのに…



玄関が開く音がした。



コッソリ覗くと、黒い服を着た大きな男2人が仁王立ちしている。



何事だろうと身を乗り出した瞬間、男の一人と目が合ってしまった。


ズカズカと上がりこんできて、私は担がれてパジャマのまま外の車に乗せられた。


コレって身売り!?


もしかして誘拐ってやつですか!?


何にしてもヤバい!!


と思い。


車から降りようとすると後ろから


「動くな」



と声が聞こえて固まってしまった。




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