泪の花。
『とりあえずさ、着替えてくるから家に戻ってよ。』



「ダメなの、飛行機間に合わなくなっちゃうから…」



『飛行機?』



「うん、パスポートは初美ちゃんママに言って、手配済みだから心配いらないよ?」



『パスポートって!!』



「今からアメリカに行くの、言ってなかったっけ?」



『聞いてないわよ!!』



叫ぶ私を乗せた車は、あっという間に空港へ…


とりあえず朔來の服に着替えた私は、げっそりしていた。



いつも朔來の相手をしている咲坂君に心底、尊敬の念を感じた。



「今から、アメリカ行くのは海ちゃんは知らないの。」



ウキウキしながら飛行機の中を歩く朔來、まだ今から日本を離れるなんて考えられない私は…


出来れば今すぐ帰りたかった。


連れて帰ってくれなんて贅沢は言わない。



だから…



降りる事を許して欲しかったが、願い届かず離陸してしまった。


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