泪の花。
数時間の飛行機の旅を終えて、降り立った地は…まさにアメリカだった。


ホントに来てしまったと声も出ない私の腕に、朔來は自分の腕を通して、歩き出した。



『ねぇ、朔來…今からどこ行くの?』



「私達をアメリカに招待してくれた人のとこ。」



ニコニコしながら歩く朔來。




空港の出入り口で、待っていた運転手と落ち合った。



招待してくれた…


咲斗さんだろうか?



去年の夏に、そんな事を書いた手紙を見た記憶が、微かに残っていた。




でも、着いたその行き先は病院だった。




『ここ病院だよ』



「そんなの私でもわかるよー」



とケラケラ笑っている。


ダメだ…


話にならないと黙っていると



「初美ちゃん!!あったよ501号室。」


と喜ぶ朔來。


もう…意味がまったく理解出来ない私は、ただ頷いた。



「あのね、招待してくれた人って…春ちゃんと海ちゃんのお母さんなの。」


『え?』


“ちょっと待って”


と、止めようとする前に、朔來は勢い良く病室のドアを開けた。

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