泪の花。
『…ホテル行こう?』


何も…言葉が見つからなくて、やっと言った言葉は、気休めにもならない安っぽいものだった。



ホテルへ行くと咲坂君がいた。



朔來は咲坂君を見るなり走って駆け寄った。



「春ちゃん!!遅かったね!!」



「父さんが俺と入れ替わりで日本に帰ったから、会社がゴタゴタしてて手伝ってたんだ。」



「じゃ、海ちゃんと二人きりなのねー、お父さん嬉しいだろうけど、海ちゃん嫌がりそうね」



とクスクス笑っている。


「可哀想だが、離して貰えないだろうな海斗。それが狙いだけど…」


咲坂君は私を見ると


「あっ、初美さん、朔來がちゃんと言ってなかったみたいで…すいません。俺がちゃんと言っとくべきでした。」



『いえ…私、今度ばかりは咲坂君を凄いと思わずにはいられませんでした。』


「なんで?初美ちゃん?」


『私が男だったらあんたの彼氏なんて無理だもの』


「えー!!私、初美ちゃんが男だったら絶対好きになるのにー」



と問題発言で咲坂君が、えっ!?と焦っている。



「もう春ちゃん、初美ちゃんは女の子でしょう?」
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