泪の花。
次の日。



朝起きると、そこには朔來の姿はなかった。



テーブルの上に



“春ちゃんと出かけてきます。”


と書いた紙とお金が置いてあった。


お札を見て…


ここは日本じゃない…


私はアメリカに来ていたんだ。


という事を思い出すと、少し憂鬱になったが、着替えて病院へ出かけた。



『確か…501号室だったよね。』



扉を開けると、まだ椿姫さんは眠っていた。



近くまで行くと、何故かあの日の事を思い出した。



眠ったように死んでいたおばあちゃん…




置いていかれた…




イヤ、嫌だ。



ギュッと目を瞑って、立ったまま震えていた。



どうしても受け入れられなくて…



怖くて、逃げたくて…


目をそらした。


このままじゃいけないと、分かっているのに…


何も出来ないのは分かっていないのと一緒だ。



現に…未だにこんなに震えが止まらない。



私は…どうしたらいい?


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