泪の花。
『あの!!大丈夫ですか?…お医者さん!!』



と呼びに行こうとすると腕を掴まれた。


「大丈夫…よ。急に笑ったもんだから体がビックリしちゃったのね…多分。」


『……ホントに大丈夫ですか?』



「もう平気よ」


と笑う椿姫さん。



だが、私の中で渦巻いた感情がなかなか収まってくれない。



『生きていて…怖くないですか?』


「え?」


『人は、いつか死にます…でも、死んだら何も残らない。私の祖母も、死ぬ前の日まで…あんなに元気に笑っていたのに、次の日、見た祖母は抜け殻でした…何でこの世に生まれるんでしょう?人間って…辿り着く先は“死”なのに…』



会って間もない人に、しかもずっと病院にいる人に…

なんて事を言ってしまったんだと思ったが…お母さんは笑っていた。


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