泪の花。
今日の出来事を、ふと思い出した。



私も…


朔來のように笑いたい。

朔來はただの泣き虫じゃない…


買い被りかもしれないけれど、私はそう思う。



「はーつみちゃーん」



朔來の声がして、玄関へ急いだ。



「朔來…どうしたの?」


「えーとね、んー…あっ!!散歩帰りによったの!!」



身振り手振りが多いこの行動は朔來が嘘をつく時の癖。


多分…

今日が私の落ち込む日なのを知っていて来てくれたのだと思う。



「朔來、ありがとう」


「えっ…えと、えへへ。初美ちゃんにはかなわななぁ…」


「気持ち悪ッ!!もう遅いのに出歩いたりしたらダメじゃない。」


「春ちゃんいるから大丈夫だよ。人の心配はいーの!!」



ブスッ!!


と膨れる横顔が可愛くて、咲坂君はこんな朔來も好きなんだろうな…

と思わずにはいられなかった。



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