泪の花。
咲坂君とは、朔來の彼氏さん、咲坂春斗君。



家が近所らしく、咲坂君がずっと片思いをしていたそうで…



鈍感な朔來を振り向かせるのは、相当大変だったと言っていた。



咲坂君は、自分はとても臆病だと私に笑いながら話してくれた事がある。


朔來が好きで、大好きでしょうがないのに…


幼なじみという関係が壊れるのが怖くて、後ずさりばかりしていたと。


友達と恋人の間には深い溝か、高くて厚い壁があって


それらは、仲がよくなるにつれて埋まっていったりよじ登ったりするけれど…


決定的な何かは、言葉と気持ちを一緒に、真剣に、伝える事でしか朔來を守れる権利を掴むことはできない。


でも、それをする事は…

どんなに怖い先生に反論するよりも、どんなにいかつい男に喧嘩を挑む事より勇気がいるんだと笑って話していた。



『朔來、最強ですね』



「マジ、強いですよ」



とまた笑っていた。
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